小網代の森に行ってみた

3.人間OSの整え方

かずくんがお勧めしてくれた森に、行ってみた。

森に足を踏み入れた途端、鳥の鳴き声が増えた。
歓迎されているような気がした。

その日は、よく晴れていた。霧もない。
なのに、梢には白いベールがかかって見えた。

虫たちが、空中で止まっていた。
普段あまり見ない光景で、不思議に思った。

歩き続けてテラスに辿り着くと——
ススキのような植物の大群に出逢った。

その日は風が強く、
大きなうねりが起きていた。

Screenshot

その光景がなぜか、
今起きている時代の大きな潮流を象徴しているように感じられて、
圧倒された。

私がカメラを構えると、
風はさらに強く吹き付けた。

ススキの一本一本の激しい動きの中に、
人々の、言葉にならない哀しみや叫びが
体現されているように感じられた。

それが、次々に迫ってくる。

その想いに囚われ、
しばらく、茫然自失になった。

私は一瞬、
違う世界に行っていたのかもしれない。

そんな感覚を抱いたまま、森を抜ける。

やがて、バス停に辿り着いた。

時刻表を見ると、次のバスは40分後。
近くの喫茶店は休業日で、
駅までは徒歩では遠い。

そのまま、その場で待つことにした。

本を読んだり、ぼーっとしたり。
スマホは、あまり触らなかった。

予定外の待ち時間で、
脳に余白ができた気がした。

無為に時間を過ごしているはずなのに、
不思議と、ゆったりと時間が流れた。

それはまるで、
何もかもが新鮮に感じられた子供時代——
時間の流れが、ゆっくりだった頃に似ていた。

心の奥底で、また一つ。
何かが、ほどけた気がする一日だった。

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