自動車関連事業ポートフォリオの縮小が進む産業構造

Cred Layer|定点観測

1. 起きている事実

2025年度中に三菱電機は、これまで手がけてきた事業の中から約8000億円規模の撤退を検討する計画を発表した。対象となる事業には従来型エンジン車向け部品や電気自動車(EV)関連部品など、自動車機器領域が含まれている。これは不採算事業の整理や経営効率の改善といった理屈に基づく判断だという。 

2. そこにあった前提条件

従来の企業ポートフォリオでは、エンジン車向けの機械部品や自動車向け電装品が安定的な収益源として位置付けられてきた。EV市場の成長が長期で見込まれる中でも、部品サプライヤーは製品開発と量産投資の両方に多大な資源を割く前提があった。また、EV関連の市場成長率が高いという観測が全体の投資判断を支えていた。 

3. 前提が変わったことで起きているズレ

しかし、成長が想定されたEV部品市場について、鈍化傾向が観測されつつあることなどを踏まえ、一定規模の投資回収が見込みにくいという判断が出てきている。これにより、従来のポートフォリオ前提が崩れ、事業の選択と集中という方向で再構築が進むことになっている。 

4. 一度、定点に戻って見た整理

自動車機器分野は、かつて多くの電機大手が収益の柱と位置付けてきた領域だった。しかし市場環境や技術変化、競争環境の変容は、従来の収益モデルに対する期待水準を変えつつある。その結果として、投資優先順位や事業継続の条件が変わり、事業の縮小・撤退という構造変化が立ち現れている。この動きは一社の判断にとどまらず、産業全体のポートフォリオの見直しと収益構造調整の流れを示している。 

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