🎵 聴覚タイプ別・音の捉え方 ―「誰がズレてるか分からない先生」だと焦った日の話(音・色・心 ― 感性をめぐる記録 vol.2)

2.世界の前提を問い直す

「今、ここのグループの声が小さいね」
「後ろの子、半音下がってる」

音楽の授業で子どもたちが歌っているとき、
隣の先生が小声でつぶやいた。

私は心の中で驚いていた。
そんな細かい違い、どうやって聴き取れるの?

同じ音楽教師なのに、私には「全体の響き」しか聴こえない。
でも、あとになって分かった。
それは**“耳の使い方の違い”**だったんだ。

「分析聴」と「全体聴」――2つの耳の世界

私たちの聴覚は大きく分けると、次の2タイプに分かれるらしい。

タイプ 特徴 例えるなら
分析聴(アナリティカル・リスニング) 個々の音を分離して聴ける。誰がズレているか、音程やリズムの乱れを瞬時に判断できる。 波の形を観察する研究者の耳
全体聴(ホリスティック・リスニング) 音を「空気」や「情緒」として一体で感じる。全体の調和や流れを優先する。 海のうねりを感じる詩人の耳

私は完全に後者。

正直、授業の進行でいっぱいいっぱいだったけれど、
同じクラスでも、授業の始まりに歌わせた時は、そうでない時よりも
子どもたちの空気が柔らかく変わるのを感じることがあった。
きっと、無意識のうちに“全体の響き”を聴いていたんだと思う。

「見えていない」のではなく、「別のところを見ている」

分析聴の先生にとっては、私の耳はきっと不思議だっただろう。
でも逆に、私から見れば、彼らが「木の葉一枚ずつ」を見ているように見えた。

私は「森全体の光の差し込み方」を見ていた。

つまり、焦点の位置が違うだけ。
私は音の“情報”より、“意味”を感じるタイプ。
それは脳の優位性(感性構造)の違いでもあるらしい。

聴覚優位でも「聴く方向」が人によって違う

聴覚が発達している人にも、方向性の違いがある。
• 🎶 分析型聴覚タイプ
→ 音程・ハーモニー・タイミングなど技術的要素に反応する
→ 指揮者・エンジニア・音響職などに多い
• 🌊 感性型聴覚タイプ
→ 音の流れ・空気の質・感情の波に反応する
→ シンガー・作曲家・セラピストに多い

どちらも同じ“耳の力”だけど、
一方は「正確さ」を、もう一方は「深さ」を求める。

そして気づいた ― 私の耳が拾っていたのは“音”じゃなく“心”

音楽の授業をしていて、いつも胸を打たれた瞬間があった。
それは、完璧なハーモニーができた時よりも――
子どもたちが、歌いながら自分の声を受け入れた瞬間。

たとえ音程がズレていても、
その「のびのびした響き」が教室を満たす時、
私は“音”ではなく“心”を聴いていたのだと思う。

分析型の先生が「技術の成長」を聴き取るなら、
私は「命の成長」を聴いていたのかもしれない。

 “ナンバーを覚えられない”のも同じ原理だった

私は昔から、車のナンバーや看板の数字が覚えられなかった。
そのたびに「え、普通見るでしょ?」と驚かれてきた。

でも今は分かる。
私の感覚は“全体の構図”や“雰囲気”を優先して処理するから、
部分的な情報(数値や断片)は記録されにくい。

音楽も同じ。
「部分の音」より「全体の波動」を感じている。
だから、分析より共鳴なんだ。

感性の違いを、優劣じゃなく“方向性”として見よう

教育の現場では「分析型が優秀」と見られがちだけど、
実は「全体聴」タイプがいなければ、クラス全体の調和は生まれない。

技術を整える耳と、空気を整える耳。
どちらも大切。

だからこそ、子どもたちにも伝えたい。
「聴き方が違うだけで、劣っているわけじゃないんだよ」って。

まとめ

• 聴覚タイプには「分析聴」と「全体聴」がある
• あなたがどちら寄りかを知ると、得意な学び方や表現が分かる
• 感性型の耳は、音の“正確さ”より“意味”を聴き取る
• 世界の美しさは、誰がどの波を聴くかで変わる

「聴こえる音が違うのは、
生きている世界の種類が違うから。」

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